まだ卒業旅行が決まる前、講堂への渡り廊下で唯・澪・律・紬が内緒で「最後に何か先輩らしいこと」をしようと話しあっているところに、梓がやってきて、こんなやりとりをします。
梓: もう ぽろぽろゴミ こぼしてましたよ
唯: 部室に帰る道が わからなくなると思って…
律: あッ
梓: 拾っちゃいました
唯: ああッ もう部室に帰れない~
梓: そんなわけないでしょ 行きますよ
唯: ふぇーい
なんてことのない、ふだんどおりのやりとりだけど、ここ、何度観てもいいですね。
というか、観返すごとに、いっそう沁みてくるんですよ。
唯も梓も特別に意識はしてないのだけど、「部室へ帰る道」についての話なんです。
このあとロンドン旅行を経て、先輩たちは卒業していく。
つまり、部室にはもう来なくなる。
しかし、空間的に限定された部室(音楽準備室)ではなくて、HTTにとっての部室はいつでも帰れるところにあるんです。
梓の「(部室に帰れなくなるなんて)そんなわけないでしょ」は、
唯が言う「私たちはいつでもどこでも放課後ティータイムだよ」と、はからずも呼応しています。
そして、こののちに完成する「天使にふれたよ!」の一節、
「卒業は終わりじゃないこれからも仲間だから」とも。
HTTが集まれば、そこが部室なんです。
山田尚子監督は『「けいおん!!」テレビアニメ公式ガイドブック~桜高軽音部メモリアルアルバム~』によせたコメントで、こんなふうにおっしゃっていました。
〔実際第2期が始まる時に、「こんなに彼女たちを外に出していいのか」っていう話はあったんですよ。第1期の時はちょっと外に出るだけで大イベントだったのに、第2期では意外にひょいっと、色んなところに顔を出していたので、最初は大丈夫かなと思っていたんですが、何気にどこに行っても軽音部は軽音部だったことには、ビックリしつつも「まぁそうだろうな」という感想ではありました。〕
そして、『映画けいおん!』で、HTTはついに海外まで行きます。
どこにいてもHTTはHTTだし、彼女たちがいる場所が部室なんです。
いつだって帰っていける部室がある。
世界のどこでも部室にしてしまう、それがHTTです。
10周年お祝いコメント

お祝いというよりも、ただただ「10年間ありがとう! そしてこれからもよろしく!」という感謝の気持ちです。